微かに暑いと感じた空気は一瞬にして消えた。
火の鳥からある程度の距離を取った嘉さんは、私を地面に下ろし勢いよく走り出す。
銀色の髪がキラキラと輝き始め、尻尾が3本に数を増やした。
嘉さんが高く飛び上がると、火の鳥が今までにない程の大きな炎を吹く。
炎に怯むことなく、嘉さんは突き抜けていく。
「なっ!」
火の鳥が驚いた声を上げたのと同時に、嘉さんは無傷で炎の中から飛び出た。
火の鳥目掛けて大きく弧を描くように変幻させた爪で、もう片方の目を狙う。
光の刃は何度も繰り出され、火の鳥は逃げ場を失いその攻撃を受ける。
狂ったように鳴き声を響かせると、見る目を失った火の鳥は真っ逆さまに落ちた。
落ちた震度で、ふらつくけれどしっかりと前を見て様子を伺う。
轟々と唸るように木々に燃え移る火が、辺りを真っ赤に染めていく。
そんな場所に降り立った嘉さんは、スッと手を前に出して構えた。