体制を整えようとする嘉さんに時間なんて与えない火の鳥は、ニタリと笑う。


そのまま鋭いくちばしで、貫かれた嘉さんから真っ赤な血が散った。



「嘉さんっ!!!!」



悲鳴のような声でその名を叫ぶと、嘉さんはすかさず火の鳥の目に向かって刀を投げた。

見事命中した刀は光を失い、元の古ぼけた刀へと形を戻した。



「おのれっ……!!堕ちた身の分際で……!!」



片目を潰された火の鳥は怒り狂い、翼を大きく羽ばたかせた。


その翼に弾かれるように叩き落とされた嘉さんは、土煙をあげた地面に落ちた。


落ちた場所へと走っていくと、土煙の中で一つの影が揺れた。



「嘉さん!!」



今にも倒れそうな体に、歯を食いしばりながら立ち上がっていた嘉さんの胸に滲む赤い模様に立ち向かおうとする嘉さんを止めた。