私がその場から逃げている間に、火の鳥は再び攻撃を仕掛けてくる。


隙が出来てしまった嘉さんに向かって何度も何度も、鍵爪で嘉さん目掛けて襲いかかる。


それを必死に刀で弾き返しては、その爪に斬りかかる。


かすり傷一つ付かない火の鳥に、怒りがじわじわと溢れて来たのか嘉さんは大きく刀を振った。


刀の書いた切り口が見事に羽に当たる。



「やった!」



低い声で唸るように鳴く火の鳥が、大きく翼を羽ばたかせると今までにないくらいの突風が吹き荒れた。


バランスを崩した私はそのまま後ろへと倒れ、尻餅を着いた。


上を見上げれば嘉さんは、火の鳥の首目掛けて飛びかかり――



「甘いな」


「何っ!?」



嘉さんが斬りかかろうとした相手は一瞬のうちに、嘉さんの背後へと回っていた。