「邪神よ、お前の目的は一体何だ」


「邪神とは失礼な。妾(わらわ)は神に忠誠を誓った身だ」


「御伽話(おとぎばなし)なんぞ聞いてはおらん。その身を持って忠誠を誓うなど反吐が出る」



ゆっくりと縮めていくその距離に、火の鳥は大きく翼を羽ばたかせた。


灼熱の炎が辺りを黒く焦がしていく。


その煙が肺に届くと、じわりと涙が滲む。


酸素が足りないこの空気で、どれだけ踏ん張ることが出来るか……


きゅっと嘉さんの羽織りを握りしめ、その背中を見つめた。


もう……足でまといになんかなるものか。


強く火の鳥を睨みつけると、嘉さんの尻尾が揺れた。


「さあ……行くぞ」


その合図と共に、嘉さんが一気に駆け出した。


グギャア!!と大きな声で鳴いた火の鳥は、口から炎の塊を吐き出した。


嘉さん目掛けて火の塊は襲いにかかるが、嘉さんはそれを意図も簡単に刀で真っ二つに切り捨てる。


そのまま力強く地面を蹴ると、宙を駆ける。