額から滲む汗を拭い、そっと立ち上がる。


嘉さんの横へと立つと、熱風が嘉さんの髪を揺らした。



「嘉さん……」


「この間の事件も、全て合致したな」



火の鳥を見据えて刀の切先を向けた。


向けられた刀を見て、火の鳥はくつくつと笑った。


肯定の意味を含んだその笑いに、私はきつく鳥を睨んだ。



「じゃあ、あいつが犯人ってことですか」


「ああ。まさか学校とやらの建物周辺に妖気が出る地域があるとはな。あいつは人間界へ降りて地道に妖気を貯めていたらしい」


「妖気が出るって……そんなことあるんですか?」


「伊鞠をお前に送らせて色々調べたが、相当の妖気を放出していた。間の世界の歪みも頻繁に起こっていたから何事かと思ったら、お前を隠しておくために作ったものだったらしい。本当に手の込んだ事をやったもんだ」



やれやれと首を横に振りながら、嘉さんは前へと歩き出す。


微かに真っ赤に燃え上がる炎の色が、髪に反射して深緋色に染まっていく。