「なにって決まってるだろ。――邪神だ」
知ってて当然のようなその答えに、眩暈がする。
先ほどまでいたあの鳥の面影はどこにもない。
炎を纏った大きな翼を羽ばたかせる度に、皮膚が燃えそうなくらいの暑さの空気へと変える。
骨であった部分にはきちんと肉がつき羽が生えていることに驚きを隠せない。
あの姿に見慣れすぎたせいか、骨でないことに違和感を感じる。
ギロギロとした大きな目は3つあり、左右だけでなく額にもその目を宿わせていた。
鋭く尖った鍵爪で地面を掴むと、そこに跡が残る。
その跡に見覚えがあった。
学校近くで起こった……あの事件の跡と全く一緒だ!
「こいつを仕留めたらそれなりの力を得られるぞ。しかもここ最近、天を狂わせてる奴のお仲間と見たが」
「ほう……お前みたいな若造がこの巫女の主とな?笑わせてくれる」
低い声で這うような声は紛れもなくこの鳥の化物の声だ。
喋れることに驚きを隠せないけど、それよりもこの暑さに耐え切れる自信がない。