さっきまでは誰もいなかったのに、一体どこから出てきたのかな……人影もなにもなかったはずなのに。
私をじっと見つめる彼に、小さく笑いながら首を傾げた。
こんな人気のない所で何してるんだろう。
格好もすごいし、喋り方も独特だし……
しかもあの耳どうなってるんだろう。
付け耳にしてはリアルだなあ。
――もしかしてこの人コスプレイヤーさん?
神々しい雰囲気のあるその格好。
ガチなモフモフとした耳と尻尾。
じーっと見つめていると、腕組をして私を見てきた。
もしかしたらここで撮影するのかもしれない。
確かにここでの撮影はきっといい絵になりそう。
私お邪魔虫だからこんなに見られてるのか。
「あ、その、ごめんなさい。きっといい写真撮れますね。お邪魔してすみませんでした」
ペコペコとお辞儀しながらそそくさと回れ右をする。