「あれ……?」
戒哲の動きばかりに目を取られていたけれど、もう一つある存在を忘れていた。
あのうるさく鳴く鳥は、翼を羽ばたかせ二人の戦いを見るばかりで攻撃をしてくることはない。
あれだけ追いかけ回した私なんか視界には入っていない。
……おかしい。
ここであの鳥も動けば嘉さんの不利な状況を作り出せるというのに。
どうしてあいつは動かないのだろう。
戒哲の動きはそっちのけで鳥をじっと見つめる。
何かあいつにはある。
疑いの目を向け続けいると、戒哲の上で何かが光る。
「ん……?」
目を凝らして見つめると、そこにあったのはいくつもの透明の糸が張り巡らされていた。
あれは一体……?
もう一度二人の配置と、鳥の位置を交互に見た。
常にその鳥の下にいるのは戒哲。
……!!!
絡まった糸が解けるようにあの鳥の正体が分かる。