強く念じると共に足がもつれこみ、派手に転げ落ちる。


低い唸り声はもう聞こえてくることはなく、重たい空気はいつしか軽くなっていた。


伊鞠くんを離すことなく、自分の体の動きが止まったのを確認して、そっと目を開けた。


見覚えのない長い長い渡り廊下は、一体どこまで続いているんだろう。


背中に走る痛みを我慢しながら、体を起こす。


伊鞠くんを見れば、まだ少し苦しそうな表情を浮かべてはいるけれど、さっきみたいに顔は赤くない。


ほっとして、改めて周りを探索する。


広い広い庭園を囲むように、この渡り廊下は続いている。


手入れの行き届いたこの場所は、どうやら人がいるみたいだ。


でも一体……どこに来てしまったんだろう。


検討もつかないまま、見渡しているとどこからか人の声が聞こえてくる。