「伊鞠くん!!もう少し頑張って!!」



喝を入れるように伊鞠くんに叫ぶように伝え、全力で走り出す。


先ほどの小鬼達が怪しげな声を響かせ、私の前に立ち塞がるけれど、体に鞭をいれて小鬼達の真ん中を突っ切る。


すると、悲鳴を上げて霧と化すのが視界に入る。


そんなことを気にしている暇もなく、すぐそこまで闇が飲み込んでくるのが背中越しに感じる。


歯を食いしばり、眩しい程の光の中へと飛び込んだ。


ぬるりとした膜を破るような感覚に、伊鞠くんを抱きしめる力を込めた。


お願い、この子だけは帰してあげて……!!