奥へと進んで行くと、トンネルのように続く道が現れてひやりとした空気が私達を包んだ。


後ろを振り返ってみるけれど、さっきまでいたあの場所はもう消えて暗闇の中に淡白い光が浮かび上がっているだけだった。


手を引かれながら歩いていると、どこからか低く唸るような音が聞こえてくる。


一体ここはどこなんだろうと辺りを見渡す。


当たり前だけど手がかりとなるような物は何一つない。


ただ前を見れば、小さな光が見えるだけ。


あれが出口だとしたら、結構距離がある。


あの場所が空間の間という場所だとして、あの出口は学校に続いているのか、家に続いているのか。


こんな目に合ってるけど、きっと嘉さんにはネチネチと怒られるんだろうな。


今回は伊鞠くんがいるから、少しは怒られることはなさそうだけど。


後ろから押されるように吹いてくる生暖かい風に顔をしかめた。



「伊鞠くん、これって一体どこに続いてるの?」



このピリピリとした空気を和ませようと、伊鞠くんに声をかけると同時に伊鞠くんに握られた手に力がこもる。



「無理矢理作った道なんだ。集中力が途切れる前にここから出なければ私達ごと消える」


「え?!」



驚きの声は響きながらもどこかへ吸い込まれていく。