うるさい鼓動が危険だと警告するけれど、何故か体が言うことを聞かない。


それどころか意識に霧がかかるようにぼやっとしていく。


立ち上がった戒哲が大鎌を振り上げ、私に向かって振り下ろした。


プツンと線と線が切れるような音がしたかと思えば、急に体に力が入らなくなる。


ピクリとも動かない私の体を戒哲が乱暴に肩に担ぎあげた。


戒哲の背中しか見えない中で、空間が歪んでいくのが分かる。


思うように息が出来ないと感じた頃には、辺りは暗闇に包まれていた。


ケタケタと嘲笑うような鳴き声が耳に残る。


段々と考えられなくなっていく頭をなんとか維持して逃げ道を探すけど、体は動く気配はない。


それどころか段々と意識が遠のいていく。


嘉さん……ごめんなさい。


私自分の力で何とかしようとしたけど、何もできなかった。


最後に嘉さんの姿を思い出そうと、頭を働かせるけどその姿はやけに霧に包まれていて何も見えなかった。


そのまま私は暗闇の中に意識を手放した。