徐々に密着していくこの感覚に、段々恐怖を覚える。
嘉さんとは全然違う力任せに押し付けてくるこの感覚。
嫌だ……こんな目に合うならちゃんと力ってものを身につけておけばよかった。
ちゃんともっと嘉さんに戦い方教えてもらえばよかった。
巫女の力の事なんてちっとも分かってない。
何も分からくてあんなに振り回されるけど、毎回嘉さんには助けられてた。
ぶっきらぼうで何に対しても強引なのに。
何でだろう、嘉さんに……嘉さんに……
嘉さんに会いたい。
「さあ、俺のものになりな」
そう言って顔と顔を近づけようと、私の手を掴んでいる手をガッチリと壁に押し付けるようにして、もう片方の手無理に頬を正面に向かせる。
怖い……誰か……誰か……お願い。
――助けて
震える体を抑えようと、もがくもののその力には勝てない。
そっと頬を伝って流れていく涙が次々と溢れ出る。
「……っ」
そんな私を見て、戒哲の動きがピタリと止まる。