ゆっくり立ち上がって軒下から空を覗く。


まだ微かにパラパラと雫が落ちてくるけれど、青空が見えた。


微かな雨の匂いが風に乗ってやってきた。


舞う髪を抑えながら、もう一度あの桔梗の花を――



「……え」



ひっそりと咲いていた桔梗の花。


だけど、それに続くように駄菓子屋と古い家屋の間の細い細い路地にいくつもの桔梗の花が咲いていた。


白い花びらが微かに光を放っている。


綺麗なその光景にため息が漏れた。