まだ何かあるの?


まだ活動する時間になるまで時間があるから、少しぐらいは自分の時間に当ててもいいじゃ――



「大丈夫か?」


「……え?」



本気で心配しているその瞳に心の中の何かが揺れる。


吸い込まれるようにその瞳を見つめると、腕を掴んでいた手を離して寝癖がついた私の髪をそっと撫でた。


壊れそうな何かを扱うようなその手つきが、どことなく怯えているようなそんな気がした。


なんでそんな目で見つめるの?


別に私どうもしてないのに。



「嘉さん?」



そっと名前を呼ぶと弾けるようにはっと我に返った嘉さんは、そのままスタスタと何処かへ行ってしまった。