「童!!」
スパァンと勢いよく襖を開けて現れた嘉さんに、ビクリと肩を揺らす。
すると、さっきまで感じていた寒気も収まって、鳥肌も落ち着いた。
後ろを振り返って嘉さんを見れば、少し驚いた顔で私のことを見ていた。
しばらくの間二人してキョトンとしていると、またあの音が微かに聞こえる。
もう一度窓の外を見れば、さっきまでいた女の子の姿はどこにもない。
……寝ぼけてたのかな、私。
首を傾げながら窓を閉めて、一つ呼吸をおいた。
「おはようございます。嘉さん。それで?まだ着替えもしていない女の子の部屋に、ノックもなしに入ってくるなんて何事ですか」
腰に手を当てながら嘉さんに向き直ると、ふんと鼻を鳴らす。
ちゃんと理由がない限り、部屋には来ないでほしいって言ったのに。
「起きてたのか」
「音で目が覚めたんです」
「音?」
あれだけ大きな音だったっていうのに、気がつかなかったのかな。
腰に当てていた手をそっと下ろして、嘉さんの元へと向かう。
悔しいことに今日も美しいその顔に、ため息しか出ない。