「様子を見に来れば……あんな力の格差のある奴を相手にしおって。千代の力を使っていなければ、今頃死んでいたぞ」



さっきまでの優しい声とは打って変わって、低い声で真剣にそう嘉さんに向かって言う。


確かに今気づけば、嘉さんの着物の隙間から見えるかすり傷が痛々しい。


私の視線が傷に向いてることが分かったのか、嘉さんはそっぽを向いた。



「ようやく、これで童の力が出現することが分かったんだ。だが、本物ではない。まあ、これぐらいの代償は覚悟の上だ」


「馬鹿な奴だ、まったく……。伊鞠!」



呆れながらも、伽耶ちゃんのその声はどことなく安堵の声を隠しているようなそんな気がして小さく微笑んだ。