「ふっ…おもしれぇな」
走っていく花蓮ちゃんを見ながらぼそり、と呟き
自分の靴箱からローファーに履き替える。
そんなとき
「さ、澤井先輩!
今日私と遊びに行きませんか?」
誰かもわからない香水の匂いが強烈な女が近づいて声をかけてきた。
鼻が…おかしくないそうだ。
コイツの鼻…大丈夫か?と思わず心配するほどの強烈さだった。
つーか、さっきの呟き聞かれてなかったよな?
まあこの女の様子からだと聞かれてなかったっぽい。
「ごめんね。
今日は大切な予定が入っているんだ」
なんて、嘘を笑顔を作りながらつく。
本当は『お前なんかと遊んでる暇はねぇんだよ』と言ってやりたいところだけどオブラートに包んで言ってやってんだから感謝しろよ。
そう思いながら、笑顔で立ち去る。
ハァ…マジでこんなキャラ今すぐやめてぇ…。
「せ、先輩の名前…!」
「え?」
目の前にはローファに履き替えた花蓮ちゃんが立っていてその表情はなぜだか嬉しそうに笑っていた。
「澤井っていうんですね!澤井先輩!」
「うーん、宮園さんに
そんな呼ばれ方したくないな」
「へっ!?何がですか!?」
苗字なんて呼ぶなよ。
花蓮ちゃんには下の名前で呼んでもらいたい。