そうそう、それでいいんだ。
逆らわないで、俺についてきてほしい。
「気を取り直して、スーパーに行こう」
「す、スーパー?」
「そう。晩飯の材料がなかったから」
「なんだ……そういうことだったんですか」
ホッとしたように一気に安堵の表情を浮かべる花蓮ちゃんは余程の俺のことを警戒しているように思えるけど、実際はそんなことはないと思う。
だって、警戒していたら買い物なんて行かねぇだろ。
「早く行かなきゃ、無くなっちまう」
「ふふっ…そんなに焦らなくても無くなりませんよ」
今にも走り出しそうな俺を見てクスクスと笑う花蓮ちゃん。
そんなに笑いやがって…バカにすんなよ。
スーパーにはモンスターみたいなおばさんたちがいるんだろ?
それを花蓮ちゃんは分かってねぇからそんなこと言えるんだ。
「ふぅん。
もし、なかったら宮園さんのせいだからね」
「なっ…!人のせいはダメですよ!」
「もう何でもいいから靴履き替えて来て。
校門の前で待ってるから。」
「あ、はい」
「…もし、また逃げようなんて
バカなことしたら今度は本当にその唇をいただくから」
別に冗談で言っているわけじゃなくて本気で言っている。
それを花蓮ちゃんも分かっているのか顔を真っ赤に変えて自分の靴箱まで走って行った。