「昨日入学したばっかりで
人見知りなきみにもう友達なんてできたの?」
さっき教室を覗いたときに一人で緊張気味に椅子に座って、まるで“誰かに話しかけなきゃ”というような雰囲気でオドオドしていたから花蓮ちゃんはウソをついている。
「失礼な…!先輩には関係ないです!」
「下手なウソなんてつかない方が身のためだよ。
今なら本当のことを言えば許してあげるよ?」
にっこり、と目の笑っていない笑顔を彼女に向けると
それを読み取ったのか焦ったように「ご、ごめんなさい!」とまた涙目になりながら言った。
「やっぱりウソなんだ。
まあ、素直に言えたから今回だけは許してあげる」
「……でもどうして私なんかが先輩と買い物なんて…」
「きみと僕のためのものを買いに行くからだよ」
イジワルな言い方をすれば、花蓮ちゃんはすぐに顔を真っ赤にさせて「な、なんですかそれ…?!」と戸惑ったように言った。
その顔マジでそそる。
……って俺は何を思っているんだか。
こんなチビで鈍感野郎に発情なんてありえない。