「そんなことぐらい分かってますよ…!」
なんて、言いながら頬を伝っている涙を自分の手でゴシゴシと拭く。
「ねぇ、宮園さん」
少し低めのトーンで言うと花蓮ちゃんは不思議そうにコテンと首を横に傾げた。
その仕草は強烈だ。俺じゃなかったらきっとその唇を奪われて、花蓮ちゃんの嫌いな痛いことをされていたはずだ。
「な、なんですか…?」
「今日の放課後、僕の買い物に付き合ってくれる?」
「……」
「ねぇ、聞いているの?」
俺なことを無視するなんてどうなるかわかってしているんだろうか?
泣き虫なくせに肝はすわってるんだな。
「えーっと…その…今日は友達と遊びに…」
モゴモゴと小さな声で話し出した彼女の言葉を遮るようにして俺は言葉を発した。