「やめてほしいなら
俺のことが好きって言ってみ」
「えぇ…っ!?」
やっと、俺の顔を見た花蓮ちゃんはもう既に半分泣いていた。
でも、俺はそんなに甘くねぇんだよな。
泣いてるだけじゃやめてやらねぇから。
「無理なら、痛いこと…しちゃうから」
耳に顔を近づけてそう言えば彼女はオドオドとわかりやすく動揺し始める花蓮ちゃんを見ていたら頬が自然と緩んだ。
今はここまでにしといてやるか。
これ以上、泣かれても困るし。
「なーんてな。何もしねぇからそんな顔すんなよ。
大して可愛くもない顔がもっとブサイクになってんぞ」
素の俺で言ったら、花蓮ちゃんは弾けたように下げていた視線をあげた。
まさか学校で素に戻るなんて思ってもなかったんだろうな。
まあ、さっきも少しだけ戻っていたけど。
俺だって素に戻るなんて思ってなかったけど、この状況を誰も聞いていないだろうし花蓮ちゃんを見ていたら不思議と素の自分に戻りたくなる衝動に駆られる。
きっと汚れを知らない純粋な花蓮ちゃんを見ているからなんだろうけど。