…ヤバい。

…危険だ。

華は咄嗟にそう思った。


だって、その目に吸い込まれそうになったから。

「…助けてくれて、ありがとう」

そう言いつつも、健吾を突き放し、マンションに駆け足で戻った。




「…華?」


勢いよく閉まったドアに驚いて、和也が見に来た。

「…はい、これ、ビール」

赤くなった顔を見られたくなくて、華は、うつむき加減で、和也にビールを渡すと、台所に逃げ込んだ。


「…華、どうしたんだよ?」

気になって、和也が台所に入ってきた。華は、精一杯の作り笑いを浮かべた。

「…よ、夜道が怖くて走ってきたら疲れちゃって…エヘヘ」

「…今度は一緒にいくよ」

そんなに怖かったのかと思いながら、和也そう言うと、ビールを持って台所を出ていった。