試合が終わった。3-1で、正樹の高校が勝利。

ベンチに帰って来た選手たちに、応援が労いの言葉を口々に言う。

勿論華も、みんなにおめでとう、お疲れ様と、声をかけていた。

そして、当たり前のように沢山のおかずやおにぎりが詰まった弁当をみんなに振る舞っていた。

恥ずかしそうにしていた正樹も、嬉しそうにおにぎりを頬張っている。

みんなを見る華の顔は、本当に幸せそうだ。

「…三宅さん!」
「…ぇ」

邪魔しちゃいけないと思った健吾が帰ろうとしたときだった。

健吾に気がついた華が、健吾を呼んだのだ。

どうしようか迷いつつ、その輪の中に足を進めた。

「…三宅さんどうしてここに?」
「…仕事帰りなんですけど、散歩がてらにあるいてたら、試合見つけて、俺も学生時代サッカーやってたんで」

健吾の言葉に、食いついたのは選手たち。

「…どこの、高校だったんですか?」
「…え?あー、S大付属高校だけど」

『スッゲー!!!この辺じゃ1、2を争う強豪高校だよな』

選手たちは、みんな口を揃えて言っていた。

これを皮切りに、サッカー話しに花が咲いて、選手、コーチ、健吾、華や、他の保護者たちもワイワイと仲良く話が弾んだ。

…。

「…すいません。なんか、部外者が輪の中に入っちゃって」

申し訳なさそうに、健吾が言う。華は笑いながら、首をふった。

「…そんな事ないですよ。すっかり人気者になってたじゃないですか」

華の言葉に、健吾は気恥ずかしそうに笑った。