…それから数日後の休日。

正樹はサッカーの試合。鈴は友達の家に。和也は家でゴロゴロ。

華はいつものように家事に追われる。

あの晩以来、健吾とは会っていない。

『あれはただの気まぐれ、お遊び』

華は毎日のように自分にそう言い聞かせていた。

「…もぅ、届かない」

棚の上の段ボールを取ろうと、小さな台に乗るも、150センチの華では、届かない。だから、普段は背の高い正樹か、和也が取っていた。

が、今日は疲れてるだろう和也に、無理をさせたくないと、自力で頑張っていた華だったが、どうしても届かない。

「…お父さーん、これ取って」
「…ん、んー」

仕方なしといった感じで、和也は華の元へ。

その時だった。華は、台から足を滑らせ落ちそうになり、和也が慌てて助けにはいった。

華は助かったが、下敷きになった和也は小さな声で唸った。

「…お父さん!ごめん」
「…華、お前、重すぎ…ちょっとは痩せろよ。それに、女何だから、少しは身綺麗にしろよ」

「…」

…ショックだった。今まで和也にそんなこと言われたことなかった。いや、思ってたけど、口にしなかっただけかもしれない。

でも、直接旦那の口から、そんな事を言われたら、嫁はショックを受けるだろう。

箱を取り、下に置いた和也はさっきの言葉など忘れたかのように、リビングに行ってしまった。