「………ふっ」


何処からか産まれた感情により、笑わずにはいられなかった。
腹を抱え、ひとり部屋の中、ベッドの上、涙を流して笑った。


この涙は、喜びからか、悲しみからか……。



「………お姉ちゃん?」

「ははは……ああ、百合子、おはよう」


妹が起こしに来たことにも気付かなかった。

「大丈夫?」

「大丈夫大丈夫、愉しい夢見ててね」

「へぇ………。もうすぐ朝御飯だから」

「はいはい」


気持悪そうに顔をしかめ、立ち上がる百合子。
私はちょっと恥ずかしくなって、ベッドから床に足を下ろした。ふと、百合子が思い出した様に足を止めた。


「お姉ちゃん」

「あ?何?」

「今日なんの日だっ?」

「は?」

「トリック・オア・トリート!」

「……大丈夫?」

「大丈夫だよっ!ハロウィンだよっ!」

「あー、はいはい。飴で良い?」

「うんっ」

「はぁ……」


溜め息を吐いてベッドから腰を上げ、机の一番下の抽出を開けて、そこにあったミルク味の飴の袋からいくつか取り出した。


「ほら」

「えへへぇ」


百合子はミッション系の小学校に通う四年生だ。故に欧米の行事等には敏感である。
その小学校は、私も通っていた。
あの子も………。



「ねぇお姉ちゃん、私の学校でね………」





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