【完】DROP(ドロップ)




俺は、奈央を好きだって気づいて、それに興奮してた。


こんな感情は初めてで、どう言ったらいいのかわかんねーし。

だけど、ドキドキと高鳴る胸が抑えられない。


こんな時は、どうすればいいんだろう。



そっと奈央に手を伸ばし、髪を触れようとした瞬間。

顔をあげられ、その手を引っ込めた。


キョトンとした顔を見せ、小さく溜息を吐くと



「陸、薬より治る方法があるんだけど……」

「え? 頭痛が? 何? 何?」



チョイチョイと指で呼ばれ、近付いた俺の耳元で



「キスしてくれたら治る……と、思う」

「いいの!?」



大きな声で聞き返した俺に真っ赤な顔をしていた奈央。



「そこは、黙ってするところでしょ? この間の強引さはどこへ行ったのよ!」

「え、強引さ?」

「楽屋でキスした時っ!」



あぁ。



あれは、奈央が何か変だったし。

それに俺の事、好きなんだって思い込んでたから。



「って、奈央ちゃん! 俺の事……好きなんだよね?」



忘れてた。

自分の気持ちに気がついた嬉しさで、すっかり忘れてたけどコレが1番大切な事だったんだ。



「……まぁ、陸の初恋は私みたいだし。そういう事でいいわよ」



プィッとそっぽを向いてしまった奈央ちゃを力いっぱい抱きしめていた。



それだけで、すげぇドキドキしまくって、手が震えて。
だけど俺、奈央が好きなんだ! って思えて、また嬉しくなった。








圭矢とエレベーター前で別れ、小走りで向かった部屋のチャイムを鳴らした。



「奈央ちゃん、ただいま!」

「……煩い」



玄関を開けると、愛しい奈央ちゃんのお出迎え。



ちょっと言葉は冷たいけど(態度もだけど)それでも待っててくれたのが嬉しい!

あれから、秋人が店を閉めて結婚して。

俺達の思い出いっぱいの場所はなくなって寂しかったけど。



今は、隣に奈央ちゃんがいるし。

DROPのメンバーだっている。

支えてくれる人も、応援してくれるファンも。



俺、この仕事して、すげぇ良かったかも!



奈央ちゃんには『単純馬鹿』って言われるけどね。



「圭矢のとこ、雫ちゃん来てるの?」

「らしいよー」

「じゃあ、遊びに行って来ようかな♪」



最近は、俺より圭矢の彼女の雫ちゃんがお気に入り。



「だーめっ!」



そう言いながら、部屋を出ようとする奈央ちゃんを後から捕まえた。

『えー』なんて文句は聞こえない。







「3日ぶりに会えたのに、離れないで」

「毎日、電話してたじゃない」

「あんなのじゃ足りない!」

「陸の寂しがりや」

「いーの、それで」



未だ、圭矢との熱愛報道だってされたままだし。

そりゃ、ドラマがあるから下手に何か言えないのもわかるし。

住んでるマンションも一緒だし、写真週刊誌に撮られたのは俺の責任だけど。



彼氏としては、気分はよくない。



「もう仕方ないなぁ」



そう言うと、俺の手をギュッと握り


『何して欲しい? 仕事頑張ったから1つだけお願い聞いてあげるよ』


だって。



そりゃ、勿論!



「奈央ちゃんと朝までベットにいる事!」



しかないだろ?





*:.。.番外編-陸 END.。.:*






*:.。.DROPおまけ.。.:*



「雫…俺、もう出なきゃ」



ギュッと後から抱きしめる雫の肩越しに時計を見て溜息を吐いた。



「えっ、あ、そっか。うん!」



簡単に納得してしまった雫は、俺の腕から抜け出そうとする。


……。



「え!? 圭矢?」



それを阻止するかの様に抱きしめる腕を強めた。


だってさ。

雫は、またバイトに行くんだよね?

そりゃ辞めるわけ、ないだろうけど。


でも……。


だって、それって。



「圭矢? 時間なんだよね?」



俺の考えている事なんて全くわからない雫は、腕を手で掴みながら焦る。


それに、さ。

少しは寂しそうにして欲しいなーなんて……絶対に言えないけどさ。



「ちょっとぉ、圭矢ぃ」



さらに強めた腕に、苦しそうな声が聞こえる。



……わかってるよ。

雫が、そんな子だって知ってる。



あー。
本当に、もう出なきゃヤバイ。





「……じゃあ行く…よ?」



緩めた腕を今度は雫がギュッと掴んだから、驚いた。


中途半端に立ち上がった俺を見上げて、ほんのりピンクに染まった頬と潤んだ瞳。



「そんな離れたくなくなるような事しちゃ嫌だよ」



今、絶対雫より赤くなった自信があるよ。

そんなセリフ、今言うなんて駄目だって。



雫を抱きしめて目茶苦茶にしたくなるじゃん。



俺だけのものにしたくなるじゃん。



「……じゃあ、ずっとそばに居ればいいじゃん」

「え……っ?」



真っ赤な俺は、真っ赤な雫にキスをした。



こんな事を言うキャラじゃないけど。

そんなのはわかってるんだけど、ね。



そんな恥ずかしい事も言えちゃうくらいに、
こんな恥ずかしい事を思っちゃうくらいに、



雫だけなんだよ。





【DROP END】

→この後は後書です☆




(゚∀゚ノノ゙☆'`ィ'`ィ'`ィ'`ィ


ナメた後書コーナーまで
足を運んで下さった皆様!


毎回ながら、
ありがとうございます!



今回の【DROP】は、
【短編-5回目のキス】
の長編化バージョン☆


実は【5回目のキス】は
読者様からの声で書いた
作品なのですよ。


「芸能人との恋の話」


王道・ベタ好きのあたしに
とって1番ベタな設定に
なったと思います(・∀・)ニヤニヤ



初め積極的だった雫を
後半どう消極的にするか。
(。-ノд-)コッチョリ
短編から長編ってムズイ。

圭矢の話し方とか性格を
どう耐えて書き上げるか。
(。-ノд-)コッチョリ
圭矢書きにくいの。

いかにライバルを
いい奴にするか。
(。-ノд-)コッチョリ
たから巧ね♪ラブ巧!



なーんて。

色々考えて書いたのですが
【プリンセス】並の
ハイペース(●`゚ω゚)フフフフフ

すっごく楽しかったです!



愛ある感想をくれた皆様
本当にありがとでした!
その言葉で、こんなに早く
完結を迎える事が出来ました。
(´。・ω・。`)ぅりゅ


皆、大好きだー!
壁lョз゚)ジ―....


これからも、こんな
おばかヒミを、どうぞ
宜しくお願い申し上げます。




日本妄想連合大阪支部長
陽未
(珍しく漢字でw)

(`゚Д゚´)ゞ以上!!



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