「顔酷いって失礼だよー、まぁ、良くもないけどね」



そう冗談ぽく言って、巧に軽くパンチして見せた。


――パンッ

と、あたしの握り拳を掌で受け止め、強く握る。



え? と、顔を上げて見た巧の目は、あの時……告白した時みたいに真剣なものだったんだ。



「たく……み?」

「俺じゃ駄目? そのKEIって奴の代わりは俺じゃ駄目なの?」



握られた手が熱い。

その手から逃れたいのに、離してくれなくて。



「今、付き合ってる奴も代わりなんだろ? なら、俺でもいいじゃん?」



あぁ。
わかった。

巧は、あたしがKEIの事を引きずっていて“誰か”を代わりに付き合ってると思ってるんだ。


違うよ、巧。違うんだ。


あたしが付き合ってるのはね、その本人なんだよ。



KEIなの。



「ごめん……離して?」

「雫……」

「ごめんね」



それだけしか言えなくて、ごめんね。

ちゃんと答えれなくてごめんなさい。



あたしには、圭矢しかみえない。



好きで好きで、大好きで。



それ以外なんて考えられないんだ。

それが、あたしの答え。