「前にコンサート行った以来かなー」

「へぇ、菜摘ちゃん。RIKUのファンなんだ」



結局、松本君は菜摘の事に話題を持っていったけど。



何気なく、2人が言った

『KEIと杉下奈央ってお似合いだよね』

何も知らない2人が言っただけの言葉に胸の奥が抉られそうだった。



テレビも、誰の声も聞きたくなくなって。

どこかへ行ってしまいたくなった。



でも、バイト中のあたしは、トイレへしか逃げれなかった。



あたしは、ただの高校生で。

別に何の取り柄だってないし。

芸能人みたいに、特別可愛くも綺麗でもない。

たかが、芸能情報かもしれない。


だけどね……。


本当は、凄く凄く不安なんだよ。


“嘘だから”


そう言ってくれた言葉だけしか、信じれるものがないんだ。

真実を確かめる術なんてない。

圭矢だけ。

圭矢の言葉や態度や、表情だけが真実なんだよ。



その言葉を貰ったのに、どうして信じれないんだろう。

どうして不安になるんだろう。



苦しいよ……辛いよ、圭矢。