「この店、混み過ぎだよー」
左肩を右手で揉み解す格好は、パートさんそのものの菜摘。
休憩室で買ったお弁当を広げ、遅めのお昼休み。
「あ、そうだ。この間、瀬戸君に告られたんだってね」
「ゴホッ」
突然サラッと言われ、口に頬張っていたエビフライが喉に詰まった。
ケラケラと笑いながら、ペットボトルのお茶を差し出す菜摘から受け取り、
「何で、知って!?」
驚きで噛んでしまった。
「え? 松本君から聞いたんだよ♪」
「松本君から?」
「そう、瀬戸君から松本君が聞いたってさ」
あぁ。
なるほどね。
「あ、いや。あれは告白とか、そんなのじゃなくてね、冗談だったんだってば」
一瞬、納得してしまったあたしは、あの後の巧の馬鹿にした顔を思い出した。
そうだよ、真剣に返事しようとしたのに爆笑されて。
その後も目が合う度に失笑されたんだからっ!