《あ、すぐ行きます。あー……ごめん、また電話する》
そう言って圭矢は、切ってしまった。
何か言いかけてたけど、どうしたんだろ?
切った後、携帯を握り締めるあたしの後から
「何? 彼氏?」
上から降って来た声に、心臓が飛び出るかと思った。
“圭矢”って名前を何度も呼んでた事を思い出したんだ。
もしかしたら、聞かれたんじゃないかって。
「雫、彼氏居たんだ?」
振り返ると、巧があたしを見下ろしていた。
「え、あー……えっと」
あ!
さっき。
『俺が、お前の事好きだっつったら?』
言ったよね。
あたしの聞き間違いじゃないよね。
巧、あたしの事……好き、なの?