「ん?」
《不安にならなかった?》
なったよ。
なった、けど。
圭矢は芸能人だから。
これからも、こんなスキャンダルはあるでしょう?
これくらいで、不安だって圭矢に泣きついてたら駄目だもん。
圭矢は芸能人なんだから。
「あたしは圭矢を信じてるもんっ」
《……そっか》
嘘と本当。
――信じてる。
嘘。
――信じてる。
本当。
信じたい、あたしと。
信じてない、あたし。
どっちが本当のあたしなのかな。
《今、何してたの? 外だよね》
「え……、あっ。うんっ! バイトの帰りにね、バイト友達とご飯に行くとこなんだ」
違う事を考えていたせいで、トーンが落ちた声を一気に上げる。
せっかく圭矢が電話してきてくれたのに暗くなんてなりたくない。