「もっ、もしもし?」

《あ、雫?》



久々の圭矢の声。



「……う、うんっ」

《……何かあった?》



さっきの巧の言葉に動揺を隠せなかった。


でも圭矢は、そんなちょっとの事なのに、それに気付いてくれたんだ。

たった、それだけなのにもう涙が出そうだよ。



「ううんっ」

《……嘘。何かあったでしょ?》



何かね、何か……いっぱいあってわかんないよ。



「ない、よ」

《あー、テレビのは嘘だからね?》



“嘘だからね”
その言葉が聞きたかったんだ。



「うんっ」

《雫?》



そんな優しく名前呼んじゃ嫌だよ。


会いたい……会いたいよ、圭矢。