ゲームセンター以来、何だか巧が優しくなった気がする。
確かに、あの時のあたしは変だったもんね。
気使わしてるんだよね……。
「しっずくー♪」
この雰囲気には全く合わない高い声。
背中をバシッと叩いた菜摘の方を見ると、ニコニコと笑っていた。
「痛いよ……菜摘」
「あー、ごめんごめん。今日ね、夜ご飯食べて帰ろうよっ」
全然悪びれてない様子で、話を進める。
そんな菜摘に
『いいけど』
って言ったけど。
何で、このメンバーなんだろう。
目の前には、この間と同じ松本君と……巧。
菜摘は、松本君と手を絡めていた。
あたし達の前で手を握るのが恥ずかしいのか松本君は、少し下を向いたままで。
それに気付いたのか、菜摘は
「ラブラブ繋ぎー♪」
なんて嬉しそうに、松本君を引っ張って前を歩き出した。
自然と後をついて行く形になった、あたしと巧。
どうも最近、巧が優しくて気まずい。
この空気を破ったのは巧だった。