「おい、コラ。さぼんな」
ダンボールを前に大きな溜息をついたところで、おなじみの声が聞こえた。
「あ、ごめん」
振り返らず、目の前のダンボールを持ち上げた。
同じ様に、巧が隣に重なるダンボールをカートに乗せる。
「何かあった?」
「……へ?」
その言葉に手が止まった。
いや、まさか巧からこんな事を言われるなんて思ってなかったから驚いた。
「何マヌケ面してんだよ? 何かあったのかって聞いたんだろ」
「マヌケ面なんかしてないよっ」
そう膨れたあたしを見て、
「おー、大丈夫そうだな」
頭をポンポンと撫で、ダンボールを素早くカートに積んで行ってしまった。
首を傾げた後に、目の前にあったはずのダンボールを見つめる。
あたしが運ばなきゃいけない分まで持って行っちゃった。
巧なりの優しさ? なのかなぁ。