「雫! ごめん。松本君と2人で撮りたいから瀬戸君と時間潰してて!」
「はぁ? ちょっと菜摘」
「いーじゃん。可愛いよー、ミニーちゃん♪」
突然、走って来たと思ったら、そんな事を言ってプリクラ機へと戻ってしまった菜摘。
何なのよ、もう!
……巧と2人なんて時間持たないってば。
チラッと見上げた巧は、諦めた顔をしていた。
「あー。あたし、スティッチでも取ろっかなー」
何となく、その間が苦しくて元気よくスティッチのUFOキャッチャーにお金を入れようとした時だった。
隣に居た女子高生から聞こえてきた
「KEIって杉下 奈央(スギシタ ナオ)と付き合ってるらしいよー」
え……。
笑ってた顔の筋肉が一気に緩んで。
お金を入れるはずだった手は止まって。
周りの雑音が聞こえなくなった。
「えー、嘘。まじで?」
「今日の昼のニュースでしてたもん」
「杉下 奈央って、今度のドラマ出るじゃん?」
「そうそう、KEIとの恋愛ドラマでしょー。あれちょっと楽しみなんだよね」
「話題性なんじゃない?」
「かもねー」