「あっ」
「おっしゃー!」
しゃがんだ巧が立ち上がると、手には大きなミニーの人形。
自慢げにそれを差し出した巧に
「え。でも結構使ったでしょ?」
って、少し躊躇った。
ミニーをグッと押し付ける様にあたしに渡すと、
「俺がこれ持ってたら怪しいだろが」
「あぁ、確かに」
その姿を想像したら、凄く変で。
クスクス笑ってしまったあたしは、上から見下ろされた。
「ありがとね」
ミニーを軽く振ってお礼を言った。
それだけだったのに、巧は顔を少し赤くして照れたようにそっぽを向いてしまった。
巧でも、照れたりするんだ。
仕事の時の巧とは違う一面を見て、笑ってばっかりのあたし。
「巧、今の方がいいよ」
「はぁ?」
「高1って感じがするもん。いつもは、偉そうな嫌な奴なのにね」
そう言ったら、おもいっきり睨まれちゃったけどね。