「あ? うぉっ、お前話しかけんなよっ」
アームに引っ掛かったミニーのぬいぐるみが、重さで落ちてしまった。
そして、また200円を投入口へと入れた。
「ちょっ、無理だって。そんな大きなの。あ、こっちのでいいよっ」
何の躊躇いもなく200円を入れる姿に焦って、小さなスティッチの人形を指差したのに、
「あ、お前。今、馬鹿にしただろ?
俺、結構上手いんだかんな」
ニッと悪戯に笑ってボタンを押す。
ミニーに掛かるアームは、鋭いところで一度持ち上がったのに、アームが移動を始めると落ちてしまった。
「だー! 後ちょっと頑張れよ」
必死に角度を見ながら頑張る巧が可笑しくて、笑ってしまった。
「何、笑ってんだよ?」
膨れっ面になりながらも、またお金を入れる。
「ねぇ、買った方が安いって」
「いーの。取る事に意味があんだから」
それ、完全にお店の策略にハマッてるよ。
言いたかったけど。
頑張ってる巧を見ると言えなかった。