「何、意識してんの?」
馬鹿にした様な言い方をされ、ムカッと来たあたしが言い返そうとしたら、
「今日も仲良いよね~、雫と瀬戸君」
菜摘が、松本君の腕を引っ張りながら寄ってきた。
「べ、別に仲良くなんてっ」
「……」
否定するあたしの隣で、何も言わずにジュースを飲む巧を横目で睨んだ。
巧は、どうも人見知りが激しいらしい。
菜摘には、あたしみたいな態度は取らない。
だから、余計にムカツク。
「喧嘩するほど仲が良いって言うじゃない? ねぇ♪」
相槌を打つ松本君と、笑い合う菜摘をおもいっきり睨んだのに……。
「て事でさー、今日バイト終わったら遊びに行こうー」
なんて能天気なセリフ。
「ちょっと、あたし無理だよ?」
「えー、何で?」
「だって……」
“圭矢から連絡あるかもしれないもん”
なんて、ここで言えるわけがない。
その先をグッと飲み込んで、黙ってしまった。
少し不思議そうな顔をしながらも菜摘は、ニッコリ微笑んだ。
そして、あたしの耳元で
『松本君といい感じなの。だからお願い! それに、新しい恋だよ、雫♪』
なんて、これまた能天気な事を言っていたんだ。