「あー疲れた~~~」



休憩室で、うな垂れる菜摘。


確かに。
菜摘と同じ意見だよ。


あれから、何度も倉庫と店内を往復して。

その度に、巧に嫌味言われて。

混んだらレジの補助をして。


休む暇なんて全くなかった。



「あ♪ 松本君」

「菜摘さん、お疲れ様でーす」



隣で、足を開いて椅子に両手をかけ、オッサン化していたはずの菜摘が“女”に変わった。


松本君、と呼ばれた男の子こそ菜摘の好きな人。

夏休み前から目を付けていたらしい、可愛い系の男の子。



そして、その隣には巧がいた。



あからさまに嫌な顔をしたあたしを、見下ろす様に睨み、わざと隣に座る。



「ちょっ……」

「何?」



何って。



「別に隣に座らなくて…も」



真っ直ぐに見つめられた目を、何となく逸らしてしまう。

巧の目って、何だか恐いっていうか、威圧感があるっていうか。