「ねぇ、雫。“好き”って言って?」

「えっ!?」



目を見開き、俺を見る。

そして逸らされた目線。



「駄目?」



ごめん、雫。



これ、わざとだから。

これは今まで頑張って演技した成果だね。


こんな顔で、こんなセリフ言われたら言わなきゃって思うだろ?


だけどさ、どうしても聞きたかったんだ。

だから……許してよ。

何度も何度も絡んだ視線。


そして、何度も何度も逸らされた。


だけど最後は、少し膨れて、



「……大好き」



なんて

『駄目?』

って聞いた時の俺以上に、可愛く言ったのはわざと?



ねぇ、雫……絶対今のは女優になれるって。



でも駄目。



今の顔は俺だけにしか見せないでね?

他の誰にも絶対に見せないで……。



そう思って交わしたキスは、少し強引で。

苦しそうな雫を見て、俺って独占欲が強いのかも……って思った。