「雫、他に……男いないよね?」



ずっと聞きたくて、でも聞けなかった事を聞いてみた。


今だから。


今だったら聞ける気がしてさ。


だけど、抱きしめてた腕に思わず力が入ってしまう。



「いるわけないよ? 私は、圭矢だけが好きなんだもん」



雫の心臓が早くなったのがわかった。



「どうして? どうしてそんな事思ったの?」



すぐ俺に向けられた質問。

全部を言っても、重いって。

男のくせに……とか思わない?

いつも雫の言葉に答えれないのは、俺がそう思うから。


今までの俺だったら

『女の子って面倒だな』

って思ってたんだ。



だから、まさか自分がこんな事を思う男だったなんて思ってもみなかった。



“面倒な男”になるなんてー……。