「目くらい閉じてよ」



驚いて目を開けて止まったままの雫に、そう言ったんだ。

本当は、急にした俺が悪いのに。

でも、これ以上かっこ悪いところを見せたくなくて。

目を開けたままの雫のせいにしたんだ。


ごめんね? 雫。


なのに、どうして。

どうしてそんな事言うの?



「次は……閉じる」



なんて言わないでよね。

我慢出来なくなる。

もっと触れたくなるし、キスもしたくなる。


本当にいいの?



そんな事を思ったくせに重ねた唇。



そして、抱きしめた雫は、柔らかくていい香りがした。

かっこの悪い俺を見せたくなくて、頑張ってかっこいい俺を演じてみせたのに。


かっこ悪い俺……見られまくり。

雫の前では、演技のひとつも出来ないんだけど。


はぁー……。


何でこんなに雫が好きなんだろう。
抱きしめてるだけで息が苦しくて。
触れるだけでドキドキして。
キスするだけで震えてしまう。


もうここまできたら、かっこ悪いとか関係ないよね?