「あはっ、強いね……雫」



そう笑ったのは、いつもの圭矢だった。
一緒に笑いながら、肩に力が抜けた。



「じゃあ、2人で居る時は、ただの雫の彼氏だからね?」

「え……」



そう言って重なった唇。



触れるだけのキスを交わし、少しだけ離れた。

不意打ちのキスに真っ赤になった顔を見て

『可愛い』

そんな事を言われたら、もっと赤くなっちゃうよ。



「ねぇ、雫。“好き”って言って?」

「えっ?」



目を逸らしてしまった。


急に子犬みたいな顔を見せないでよ。

だって、可愛くて、かっこよくて……どうしていいかわからなかったんだもん。



「駄目?」



駄目なんかじゃない!



だけど……。



何度も何度も、絡んだ視線をまた逸らしてしまう。

少し膨れて真っ赤な顔で、



「……大好き」



って呟いた。


凄く嬉しそうな顔をして

『俺も』

その声が耳に届いた時には、また唇が重なっていたんだ。