優しく、でも哀しい笑顔を向けた圭矢。



「辞めて欲しいって言わないの?」



そんな解りきってるセリフなんて言わないでよ。



「馬鹿! 言わないから。絶対言わない!

圭矢、仕事好きでしょ?
練習だってイッパイしてるじゃない。

あたしは、どっちの圭矢も好きだから。
だから言わない……言えないよ?」


「雫……」



力なく笑う圭矢に、



「ファンの子に怒られるよ?
圭矢のファンの子の気持ちナメないでよね?」



そう、これは“ファン”としての言葉。



圭矢の“彼女”としてじゃなく。

“ファン”として。


あたしは、圭矢の“ファン第1号”だって忘れたの?