「ねぇ……どうしてコンサート行っちゃ駄目なの?」
後から圭矢に抱きかかえられる様に座る。
耳元に圭矢の息がかかる度にドキドキしてしまう。
「だって……雫の事ばっか見ちゃうじゃん。
だから3回歌詞間違えたっていったでしょーが」
なんて、照れて言われて驚いた。
あたしの所為で。
あたしの事……見てくれてたんだ。
“夢”を貰ってたんじゃなくて“現実”もあたしだった。
ねぇ、あたし自惚れちゃうよ?
愛されてるって……圭矢の隣にいてもいいんじゃなくて。
圭矢の隣には、あたしじゃなきゃ駄目なんだって思っていいの?
抱きしめられたまま、どれくらいが過ぎたんだろう。
凄くドキドキして、あたしの心臓が止まっちゃうんじゃないかって思えてくる。
だけど、ドキドキうるさい心臓の音がね……圭矢の胸からもするんだよ。
圭矢もドキドキしてくれてるの?
私だけじゃないの?