顔に当てた手の隙間から、首を傾けるあたしを見つめ小さく溜息をつきながら俯いて
「俺ばっかりで嫌になる」
「え?」
「俺ばっかり雫を好きで嫌になるってんのっ!」
普段、そんな感情的な声を出さない圭矢から聞こえた言葉。
――好き。
今、あたしを好きって。
あたしを好き……って?
両手で口を覆い、真っ直ぐに見つめてた目から知らぬ間に流れてた涙。
顔を伏せてた圭矢があたしを見つめ直し、目を大きくさせながら近付いて来た。
「雫? 何で泣いてんの?」
流れる涙を、慌てて拭う手を掴む大きな手。
ゆっくりと圭矢を見上げた、あたしは
「だって……初めて“好き”って言われたから。
本当はね? 不安で仕方なかった……」
見つめる目が優しくて、言わなくて良い事まで言ってしまう。
「いつか私なんて……いらなくなっちゃうんじゃないか、とか」
「いらないなんて誰が言った?」
「だって……」
哀しい表情をしてた。