「あっ、いや……違うの。あの……ね」
何言ってんだろ。
これじゃあ、完璧行ってました! って言ってるも同じ。
「何考えてんの?」
「……」
返す言葉が見つからず、視線を落とした。
「俺、来ないでって言ったよね?」
「えっ? 行ったの知ってたの?」
顔を上げた私が見たのは、芸能人の圭矢じゃない。
あたしも初めて見る……顔。
真っ赤に頬を染めて恥ずかしそうにあたしを睨む……
「圭矢?」
「あー! うるさいっ! 雫が悪いんだからね」
ねぇ、この目の前にいる人は……誰?
あたしは知らない。
これは、圭矢なの?