余韻に浸る菜摘と、少し興奮気味のあたし。



コンサート会場を出て、DROPのロゴが入ったトラックの前で写真を撮ったり。

残ったグッズを見て回ったり……そんな“ファン”をしたんだ。

来た時は、出来なかった“ファン”を帰りには出来ているあたし。



これがいいのかもしれない。



「はぁー終わっちゃった」



哀しそうに呟きながら菜摘と帰り道。

隣で頷いたあたしの携帯が鳴った。



ディスプレイには今さっきまで見ていた……圭矢だった。


慌てて少し離れたところで出たると、



《あー……今どこ?》



なんて聞かれて焦って、



「へっ? えっと……道?」



なんてマヌケな返答。


笑うかな? そう思ったのに、



《……ふーん。明日オフだから》



あれ?

圭矢……機嫌悪い?


いつもより少し声のトーンが低い。



「えっ? じゃ、今から行っていいの?」

《……いいけど》

「じゃあ行く!」



いつもみたいに機械音は聞こえなくて。


あたしの答えを待ってくれた。



何で?
どうして……今日に限って?