「美蘭ちゃんが〜すげぇ怒ってる」


「……」


「理由がぜんっぜん分かんね!俺怒られることなんもしてないのに!なんで怒ってんの?って聞いたら、余計怒られた」


「……」



「なぁー南夏ー!!」


「うるせ。独り言って言ったろ」


「助けてくれよ〜!幼なじみのピンチだぞ!」


「……」


そんなこと言われたってこっちこそ大ピンチだ。お前に構ってる暇なんてない。


あの教師をどうやって沙良から引き離すか、考えねぇと。


「…何、もしかして南夏も沙良ちゃんとなんかあった?」


「……」


「…う、まじかよ」


俺が無言で睨み付けると、音楽はすぐに察した。


「せっかくイチャラブサマーバケーションを過ごすつもりだったのになぁ…」


それだけは音楽の気持ちがわかる。


俺だって、高校最後の夏休み、沙良とたくさん2人で過ごすつもりだったから。